町田直隆によるアルバム解説

町田直隆による「BEAUTIFUL LOSER」セルフライナーノーツです。

(twitterアカウントより抜粋したものをまとめました)

皆さんおはようございます。 ちょっと本日一日かけてmoke(s)の1stアルバム「BEAUTIFUL LOSER」の1曲ずつのセルフライナー的なものを呟きたいと思います。 どうかお付き合い頂けたら嬉しいです。

まずアルバムタイトルについて。そもそもが収録曲の中に「ビューティフルルーザー」という曲があるのですが、僕はその曲名をアルバムタイトルにするという案は全く浮かばず、海北君の鶴の一声で決まりました。 でも結果「BEAUTIFUL LOSER」とは正に自分を表す言葉のように思いますね。

1曲目「メタリック リトミック」 

アルバム収録曲について考えている時にどうしてもそれまでの持ち曲の中にアルバムの冒頭を飾れるような曲がない事に気付き、急遽書いた曲で す。結果これぞmoke(s)といえるカッコいい曲が出来ました。聴きどころはイントロのギターノイズ。燃えます笑!この度晴れてmoke(s)初PV曲となりました。

2曲目「ハムレット」 

ドラムが岡山健二君から小寺君になってから初めて録音した曲です。リズムが入る瞬間の「ドンッ!」っという音がこの曲のハイライトですね。小寺×海北の重いリズム隊が堪能出 来る1曲です。因みに僕の書いた歌詞にシェークスピアが登場するのは二度目です。(1回目はBUNGEE JUMP FESTIVALの「ステレオの前では」)

3曲目「I’m just kidding」

この曲は思いついてからバンドアレンジ完成までに3時間くらいしか要さなかったという僕の人生の内、最短で完成した曲です。スタジオに向 かうバイクでフレーズが浮かび、リハーサルの休憩中に構成を考え、その日のリハーサル終わりには完成していました!

歌詞もシニカルで自分らしい歌詞だと思います。「I’m just kidding」とは「冗談だよ」とかそういう意味です。 曲調はアメリカの90年代のパワーポップバンドを意識しました。

4曲目「ディスコード&ミー」 

聴きどころはイントロの海北君のベースの「ブンッ!」って音ですね。この曲はアルバム中でも個人的にとても気に入ってる曲 です。曲を通していいギターが弾けたと思います。それとこの曲はドラムが岡山健二君なのですが、彼の疾走感溢れるドラミングも最高の一言です。

5曲目「エイティーン」 

今のところ僕が聴かせた人の中ではアルバム中一番人気の曲です。一番ポップな曲調だからかな?勿論僕もお気に入りです。 歌詞は自分の18歳の頃を思い浮かべて書きました。バンドで生きてゆくと決意した重要な時期でした。僕と海北君の歌声が重なるAメロが最高です。

6曲目「ビューティフルルーザー」

僕にとってビューティフルルーザーとは97年~99年くらいまで吉祥寺の路上で黒いロングコートを着ながら歌っていたと あるおじさんの事です。その人は頻繁に吉祥寺の路上に立っていましたが、いつ見てもその人の前に人だかりは出来ていませんでした。

それでもその人は雨の日も、寒くて指がかじかむような夜も歌っていました。僕もその人がいつも気になりつつも一度も結局じっくりと歌に聴き入る事はなく、 結局見かけなくなるその日まで名前すら知ることはありませんでした。それでも今に至るまでその人の事を忘れたことはありません。

その人の歌に聴き入る事が無かったのは、おそらくそのルックスがあまりに時代とかけ離れて居たせいもあるでしょう。それに自分が若いとやはり世代のちがうおじさんの歌を聴こうなんて気持ちには中々なれなかったと思います。ましてや路上で歌っているおじさんの歌なんて。

それから年を経て、自分もそれなりに歳を取った今、改めてあの人の歌をもう一度聴いてみたいと思う自分がいます。あのおじさんは何故あの時吉祥寺の路上に立ち、そして歌を歌っていたのだろう。誰も見向きもしないのに・・・。 そんな想いが僕にこの「ビューティフルルーザー」を書かせました。あのおじさんが今どこでなにをやっているか知る由もないし、僕も当時ただあのおじさんの目の前を通り過ぎる通行人の一人でしかなかったのに、時を経てこんな風に曲をとして蘇るのだから人生って面白いと思います。 いつかあのおじさんにも聴いて欲しいですね。また会える日が来るのなら。

7曲目「I DIG MY DIS」 

アルバム中唯一の英詞の曲です。この曲は自分が18歳の頃にバンドでやっていた曲を参考に、もう一度その頃に戻った気持ちになって書きました。 自分にとっては凄く懐かしい自分と再会出来たような一曲です。聴きどころはなんていっても最後の海北君の叫びです笑!

8曲目「インコンフリクト」 

アルバム中最もギターの難易度が高い曲です。曲調は80年代のイギリスのバンド・・・例えばTHE POLICEだとかTHE SMITHSだとかを意識しました。非常にカッコイイ曲だと思います。歌詞は日常で感じる生きにくさ、みたいなものを歌いました。

9曲目「MY MAIN VEIN」 

これでもかってくらいグランジで重いサウンドの曲です。この曲に於けるシンプルながらも巧みで重心の低いドラミングこそが小寺君の神髄のように感じます。 フレーズだけ聴くとシンプルに聴こえますが、こういうドラムこそ本当に上手くないと叩けないですからね。

10曲目「エイミー」 アルバム中最も甘酸っぱい気持ちになれる曲だと思います。曲も短くていいです この曲のギターソロは二拍ずつシンコペーションしながらチョーキングで1弦から6弦まで下っていくというものなのですが、咄嗟に思いついたのが結果いい感じに意表をついていて気に入っています。

11曲目「結晶」 

この曲はBJFが好きな人やLOST IN TIMEが好きな人や椿屋四重奏が好きな人が一番すんなり聴けるこのアルバムの中で最も王道な曲だと思います。実際こういうタイプの曲を書くのは割と得意ですね。 ライブでも盛り上がりやすいと思います。僕もお気に入りです。

12曲目「ヒムス」 

現段階でのmoke(s)の代表曲だと思います。僕も凄く好きでソロのライブでも頻繁に歌います。この曲を書くきっかけになったのは 同世代のとあるバンドのスタジアムライブを観た事でした。「今」が全てだった少年少女が成長し、色んなものを受け入れてゆく様を歌った歌です。

以上、moke(s)「BEAUTIFUL LOSER」のセルフライナーでした。ちょっと説明臭くなりましたが、これを読んで少しでもアルバムに興味を持って頂けたら嬉しいです。結局は聴いた人が 感じた事が全てで、それが正解ですからね。本当に素晴らしいアルバムなので楽しみにしていて下さい!